多色な錠剤

バルトレックスは、ヘルペスに大きな効果のある治療薬ですが、アナフィラキシーショックに注意する必要があります。
アナフィラキシーショックは、アレルギーの原因となる物質アレルゲンが体内に入ることで複数の臓器や全身で過敏反応が発生し血圧低下や意識障害などの生命に危険が及ぶ緊急性を要する状態になる症状です。
そのため、アナフィラキシーショックの発症を予防する目的でバラシクロビルやアシクロビルにおいて過敏症の既往歴のある患者への投与は禁忌とされています。

バルトレックスの効果

バルトレックスは、1987年にイギリスのグラクソ・スミスクラインが市販化したバラシクロビル塩酸塩を主成分とするDNAポリメラーゼ阻害薬であり、多くの医療機関でヘルペス治療の第一選択薬になっています。
この薬剤は服用後、主成分のバラシクロビルが肝臓で薬剤代謝酵素によってアシクロビルと必須アミノ酸のバリンに加水分解され、アシクロビルはヘルペスウイルスに感染された細胞由来の酵素チミジンキナーゼによってリン酸化されるだけでなく、ヘルペスウイルス由来の酵素でリン酸化されアシクロビル3リン酸に変化します。

アシクロビルは、肝臓で分解された後に3回のリン酸化反応でヘルペスウイルスの増殖に必要不可欠な核酸ヌクレオシド3リン酸に分子構造が酷似したアシクロビル3リン酸に変化し、ヘルペスウイルス増殖に伴うDNA合成時にアシクロビル3リン酸が核酸ヌクレオシド3リン酸と置き換わることでDNAの合成を阻害する効果を発揮する医薬成分です。

DNAは、遺伝子情報に基づく塩基配列を持つポリヌクレオチド鎖が二重らせん構造になっていますが、2本のポリヌクレオチド鎖はお互いを認識する相補的塩基対を持っていることから、異物であるアシクロビル3リン酸が核酸ヌクレオシド3リン酸と置き換わるとDNAを複製するDNAポリメラーゼの働きが阻害されます。

ヘルペスウイルスは、体内の自己免疫力や薬の効果が高まりヘルペスウイルスの生存に不向きな環境になった場合に、DNAポリメラーゼ働きで神経節の細胞で環状構造の休眠状態に入りますが、バルトレックスは休眠状態のヘルペスウイルスに対しても有効な治療薬です。
主成分バラシクロビルは、再活性するために環状構造のDNAを正常なDNA構造に戻すDNAポリメラーゼの働きを阻害する効果があり、1年間に6回以上再発する重篤な患者に対して、再発を抑制する再発抑制治療が保険適用で行われています。

再発抑制治療は、主成分バラシクロビル500mgを1日1回投与しますが、最短8週間?最長1年間の継続投与が必要な治療です。
再発抑制治療は、体内に潜伏感染するヘルペスウイルスを最大3分の1まで死滅させる効果があり、再発抑制治療中の再発はほぼなく重篤患者の精神的負担を軽くしています。

バルトレックスの気を付けるべき副作用

バルトレックスは、肝臓で薬剤代謝後に感染細胞内で医薬効果を発揮するので健康な細胞への医薬効果はほとんどないことからDNAポリメラーゼ阻害薬の中でも最も安全性の高い治療薬とされ、一般的には頭痛や眠気軽度な副作用の発症がほとんどです。

頭痛や眠気は、服用時の体調や個人差が大きい特徴があり、眠気や頭痛で意識レベルが低下することもあるので、服用後は自動車運転や危険な機械作業は避ける必要があります。
医薬効果の高い治療薬なのでアナフィラキシーショックだけでなく意識障害や中毒性表皮壊死融解症などの重篤な副作用を発症する患者が極稀にいますが、高齢者だけでなく非ステロイド性消炎鎮痛剤や利尿剤など腎臓の血流を抑制する治療薬を服用している患者は急性腎不全を発症するリスクが非常に高いので注意する必要がある治療薬です。

バルトレックスは、肝臓で主成分バラシクロビルが分解されたアシクロビルがウイルスの増殖を阻害する効果を発揮する治療薬ですが、アシクロビルは体内で一定の溶解度を超えると所構わず再結晶してしまう特性を持っています。

アシクロビルは、腎臓の毛細血管の塊である糸球体から排出された尿から水分や電解質など体に必要な成分を再吸収して血液中に戻す尿細管を経て体外に排出されていますが、尿細管は直径20μm?30μmと非常に細いまま4cm?7cm続くうねり曲がった無数の器官なので、アシクロビルが再結晶すると簡単に尿細管閉塞を発症し急性腎不全を発症引き起こす器官です。
急性腎不全は、急激に腎臓の機能が低下するので尿量が著しく低下するとともに呼吸困難や吐き気などの症状を併発するので、服用の中止と速やかに専門の医療機関で受診する必要があります。

バルトレックスは、眠気や頭痛の他に下痢を副作用として発症する患者が多く、下痢症状が継続されることで気づかないうちに脱水症状を引き起こしていることがあります。
脱水症状は、腎臓の糸球体や尿細管の尿の排泄量を低下させるので、アシクロビルが再結晶しやすくなり尿細管閉塞からの急性腎不全を引き起こすので、服用中は可能な限り水分補給が必要です。
特に高齢者は、暑さを感じる皮膚温度感覚を司る体温調整中枢の機能も低下しているので、高温環境下で過ごし無意識のうちに脱水状態に陥ることが多く、バルトレックスを服用する際には周囲の人が適時水分補給を促す必要があります。
しかし、バルトレックスが効果の高い薬であることには変わりはありません。
病院での処方の他、バルトレックスは通販サイトで手に入るため、服用歴がある場合は前もって入手しておくことをおすすめします。